帽子の世界、帽子屋の知恵袋
帽子のつばはなぜ反り、なぜ下がったのか トップハットからスナップブリムまで、つば型の歴史をたどる
帽子のつばはなぜ反り、なぜ下がったのか
最近スナップブリムの中折れ帽をかぶって自転車に乗ることがあり、
前つばの下りたスナップブリムは風で飛びにくい実用的な機能もあるのでは?
と思ったことがきっかけで帽子のつば型の変遷について不思議に思って調べてみました。
たとえば、昔の紳士帽に多い「つば先が反り上がった形」。トップハット、ボーラーハット、ホンブルグなど、クラシックな帽子には、つばの端がくるりと上を向いたものが多くあります。
一方で、現在「中折れ帽」と聞いて多くの方が思い浮かべるフェドラ型の帽子は、前つばを下げ、後ろつばを上げるスナップブリムが代表的です。
同じ紳士帽でも、なぜ昔の帽子はつばが反り上がり、後の中折れ帽では前つばを下げるようになったのでしょうか。そこには、礼装、実用性、流行、そして帽子の見え方の変化が関係しているようです。
まずはトップハット。反り上がったつばは「格式」のため
紳士帽の歴史をさかのぼると、19世紀を代表する帽子としてトップハットがあります。いわゆるシルクハットのような、高いクラウンを持つ礼装性の高い帽子です。
トップハットにも、つば先が反り上がったものが多く見られます。ただし、これはボーラーハットのように「野外で枝に引っかかりにくくするため」といった実用目的が主だった、というよりは、高いクラウンとのバランスを取るための造形的な意味合いが大きかったと考えられます。
高くそびえるクラウンに対して、つばがただ平らに広がっているだけでは、少し重たく見えたり、帽子全体の線がぼんやり見えたりします。つば先を少し反らせることで、帽子の輪郭が引き締まり、顔まわりにも優雅な曲線が生まれます。
また、つばの端を巻き上げることで、縁に強度が出て形を保ちやすくなるという構造的な利点もあります。薄い板や紙でも、端を折ったり巻いたりすると強くなるのと同じですね。
つまりトップハットの反り上がったつばは、風よけや作業用というよりも、礼装帽としての美しいシルエット、格式、そして形を保つための工夫が重なったものと見ると分かりやすいでしょう。
ボーラーハットでは、反り上がったつばに実用性が加わる
次に登場するのが、ボーラーハットです。丸い硬いクラウンに、短く反り上がったつばを持つ帽子で、英国紳士の帽子としてもよく知られています。
ボーラーハットは、トップハットに比べるとかなり実用的な背景を持っています。もともとは、馬や荷車に乗る猟場管理人が、低い枝などから頭を守るために作られた帽子とされています。
この用途で考えると、つばが広く平らに出ているよりも、短くまとまり、端が反り上がっているほうが都合が良かったはずです。枝や障害物に引っかかりにくく、硬いクラウンと合わせて頭部を守る役割も期待できます。
ここでの反り上がったつばは、トップハットのような礼装的な美しさに加えて、実用品としての扱いやすさが強く出ています。
つまり、同じ「つば先が反り上がった帽子」でも、トップハットとボーラーでは少し意味が違います。トップハットは格式と造形。ボーラーはそれに加えて、野外で使うための実用性。そんな違いが見えてきます。
ホンブルグは、礼装と実用の中間にある帽子
ボーラーとはまた違う流れで、ホンブルグという帽子もあります。
ホンブルグは、中央に一本のへこみが入ったクラウンと、全周がきれいに巻き上がったつばを持つ帽子です。フェドラに少し似ていますが、フェドラのように前つばを下げたり後ろを上げたりするものではなく、つば全体が固定された、より端正な形をしています。
ホンブルグのつばは、全周が反り上がっていて、いかにも整った印象です。これは風や作業のためというより、礼装・準礼装に合うきちんとしたシルエットを作るためのものと考えると自然です。
トップハットほど堅苦しくはないけれど、フェドラほどくだけてもいない。ホンブルグには、そんな中間的な雰囲気があります。
全周で巻き上がったつばは、帽子全体を崩さず、顔まわりを端正に見せてくれます。この「きちんと整った感じ」こそが、ホンブルグらしさと言えるかもしれません。
そしてフェドラへ。つばが“動く”ようになる
その後、20世紀に入ると、ソフトフェルトの中折れ帽、いわゆるフェドラ型の帽子が広まっていきます。
ここで大きな変化が起こります。それまでのトップハット、ボーラー、ホンブルグのように、つばの形が固定された帽子から、前を下げたり、後ろを上げたりできる帽子へと変わっていくのです。
その代表が、スナップブリムです。
スナップブリムとは、前つばを下げ、後ろつばを上げてかぶる形のこと。現在、中折れ帽らしいシルエットとして多くの方が思い浮かべるのは、この形ではないでしょうか。
前つばを下げると、目元に影が入り、顔まわりが引き締まって見えます。日差しや小雨を避けやすくなる実用性もあります。後ろつばを上げることで、首まわりや襟元との収まりも良くなり、後ろ姿も軽く見えます。
つまりスナップブリムは、見た目の格好よさだけでなく、実際にかぶったときの使いやすさも兼ね備えた形だったのです。
スナップブリムは風にも理にかなっていた?
スナップブリムについて考えると、もうひとつ面白い点があります。それは、風を受けたときの安定感です。
前つばが下がっている帽子をかぶって自転車に乗ると、正面から風を受けたときに、帽子が上に浮くというより、少し下に押さえられるように感じることがあります。
これは条件にもよりますが、前つばが下がっていることで、つばが風を下から大きく抱え込みにくくなり、場合によっては帽子を押さえる方向に力が働くことも考えられます。
もちろん、スナップブリムが「風で飛ばないために生まれた」と断定することはできません。ただ、古いクラシック帽にはウインドキャッチャー、つまり風で帽子が飛ばされたときに留めるための紐が付いているものも多くあります。そのことからも、昔の帽子にとって「風で飛ばされにくいこと」は大切な実用性のひとつだったのでしょう。
スナップブリムは、日差し、雨、風、そして見た目。そうしたいくつもの要素が重なって定着した形と考えると、とても自然です。
つばの形には、その時代の“帽子の役割”が表れている
こうして見ていくと、帽子のつばの形は、単なるデザインではないことが分かります。
トップハットの反り上がったつばは、礼装帽としての美しい輪郭と格式。ボーラーハットの短く反り上がったつばは、野外での実用性と保護性。ホンブルグの巻き上がったつばは、きちんとした装いに合う端正さ。そしてフェドラのスナップブリムは、見た目の陰影と、日差しや雨を避ける実用性、さらに風への安定感も感じさせる形。
時代が変わるにつれて、帽子は「身分や格式を示すもの」から、「日常の装いに合わせて自由にかぶるもの」へと変化していきました。その変化が、つばの形にも表れているのかもしれません。
昔の帽子ほど形が固定され、きちんと整っている。新しい帽子ほど、かぶる人がつばを動かし、自分の表情を作れる。そう考えると、スナップブリムの登場は、帽子がより身近で自由なものになっていく流れの中にあったようにも感じられます。
つばの形を知ると、帽子の見え方が少し変わる
帽子のつばは、ただの飾りではありません。
反り上がったつばには、格式、造形、強度、実用性がありました。下がった前つばには、日差しや雨を避け、顔まわりに陰影を作る役割がありました。
トップハットからボーラー、ホンブルグ、そしてフェドラのスナップブリムへ。つばの形をたどるだけでも、帽子がどのように使われ、どのように見られ、どのように愛されてきたのかが見えてきます。
普段なにげなく見ている帽子のつばにも、実は長い歴史と理由があります。そんな背景を知ると、中折れ帽の前つばを少し下げる仕草ひとつにも、少しだけ深みが出てくるのではないでしょうか。
- 2026.04.28
- 21:49
帽子に使われる夏の天然草の退色・色焼け・変色が起こる原因と予防法

パナマや麦など、帽子に使われる夏の天然草は涼しげで上品な印象が魅力です。
一方で、天然の植物繊維であるため、使い方や保管環境によって退色・色焼け・変色が起こりやすい素材でもあります。
お気に入りの帽子に色ムラや黄ばみが出ると、原因や対処法がわからず困ってしまいますよね。
この記事では、天然草素材に起こりやすい見た目の変化の違い、劣化が進む理由、
そしてできるだけそれを防ぐための予防方法を解説します。
帽子のお手入れに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
帽子に使われる夏の天然草に退色・色焼け・変色が起こるのはなぜか
夏の天然草帽子は、見た目以上に外的影響を受けやすいアイテムです。
ここでは、紫外線・汗や皮脂・湿気・保管環境という代表的な原因を整理し、なぜ色味が変わってしまうのかをわかりやすく確認していきます。
退色は、避けることのできない繊維の個性や味わいであり、天然素材ならではの経年変化ともいえます。しかし、できることなら元の色合いをできるだけ長く保ちたいと思う方も多いのではないでしょうか。
退色や変色の原因を知ることで、日頃の予防もしやすくなります。
ぜひ参考にしてください。
天然草素材は紫外線や熱の影響を受けやすい
布の服や帽子でも同じことはいえますが、天然草は比較的染まりにくいものが多く、染料が抜けやすい素材です。そのため、長時間の直射日光や熱にさらされると繊維が乾燥し、色あせや色焼けが起こりやすくなります。
畳をイメージするとわかりやすいかもしれません。最初は青みのある畳が、経年によってベージュがかった色味へと変化していくように、天然素材の色は少しずつ変わっていきます。
たとえば、窓際や車内に置きっぱなしにすると、一部分だけ色が抜けて見えることがあります。特に夏場は紫外線量が多いため、短時間でも影響が蓄積しやすい点に注意が必要です。
汗や皮脂が帽子の色味に変化を与える
帽子の内側には、着用時に汗や皮脂が付きやすくなります。これらが天然草にしみ込むと、黄ばみやくすみ、部分的な変色につながることがあります。
具体的には、額が触れるスベリ部分の周辺だけ色が濃く見えたり、ムラになったりするケースです。放置すると汚れが定着しやすくなります。
また、整髪料の成分や、まれなケースでは服用している薬の影響による汗の成分などによって、染料が分解されることもあるようです。
湿気や保管環境によって変色が進みやすくなる
湿気の多い場所で保管すると、天然草が水分を吸って風合いが変わり、変色やシミのような見た目が出ることがあります。
さらに、通気性の悪い箱や袋に入れたままだと湿気がこもり、劣化が進みやすくなります。梅雨時期や、使用後すぐに収納することは、変色を進める原因になりやすいため注意が必要です。
帽子に使われる夏の天然草で起こりやすい見た目の変化
天然草帽子の劣化は、どれも同じように見えて、実は性質が異なります。
ここでは、退色・色焼け・変色の違いを整理したうえで、素材ごとの傾向や自然な経年変化との見分け方を確認します。状態を正しく判断できると、適切なお手入れや保管方法を選びやすくなります。
退色と色焼けと変色の違い
退色は全体的に色が薄くなる状態、色焼けは日差しによって一部の色味が抜ける状態、変色は汚れや湿気などによって本来とは異なる色に変わる状態です。
似ているようで原因が異なるため、予防の考え方も変わります。まずは、どの変化に近いかを見極めることが、悪化を防ぐ第一歩です。
| 状態 | 主な原因 | 見た目の特徴 |
|---|---|---|
| 退色 | 紫外線・経年劣化 | 全体的に色が薄くなる |
| 色焼け | 直射日光・熱 | 一部分だけ白っぽくなる |
| 変色 | 汗・皮脂・湿気・汚れ | 黄ばみ、茶ばみ、色ムラが出る |
素材ごとに出やすい劣化の傾向
天然草帽子といっても、ラフィアや麦わら、ペーパー混素材などでは劣化の出方が異なります。染料の定着しやすさも素材によって違うため、たとえば柔らかい素材は汗の影響を受けやすく、硬めの素材は日差しによる色焼けが目立ちやすい傾向があります。
素材表示を確認し、それぞれの性質に合った扱い方をすることが大切です。
自然な経年変化とトラブルの見分け方
天然素材は、使い込むことで少しずつ色味が深くなったり、風合いがやわらいだりします。これは自然な経年変化です。
一方で、急な色ムラや部分的な黄ばみ、輪ジミのような変化はトラブルの可能性があります。変化が急かどうか、場所に偏りがあるかを確認すると判断しやすくなります。
帽子に使われる夏の天然草の退色・色焼け・変色を予防する方法
冒頭でもお伝えしたように、天然草の色の変化は経年変化として避けられない面があります。
そのうえで、できるだけ元の色を保ちやすくするための方法をご紹介します。
直射日光を避けて保管環境を整える
まず見直したいのは保管場所です。直射日光の当たる棚や窓際を避け、風通しのよい日陰に置くだけでも、色焼けの進行を抑えやすくなります。
たとえば、不織布に包んで室内の高温多湿を避けるだけでも、帽子への負担を軽減しやすくなります。最初に環境を整えることが大切です。
場合によっては紫外線カットスプレーをかけておくと効果がある場合もありますが、パナマ素材にテストした限りではスプレーが素材に残りにくいのか、効果は限定的なようです。
物によっては型崩れや硬化を起こすこともあるようですので、スプレーをご利用の祭は、まず裏面などでお試ししてからをおすすめします。
汗や汚れをやさしく取り除く
汗や皮脂が原因の変色を防ぐには、かぶったあとにやわらかい布で軽く押さえるように拭き、表面の汚れをためないことが大切です。強くこすると繊維を傷めるため避けましょう。
特に内側は汗や汚れがたまりやすいため、固く絞ったタオルなどでこまめにやさしく拭き取り、その後に陰干しする習慣をつけると変色の予防につながります。
毎回のひと手間で、汚れの蓄積を防ぎやすくなります。特に夏は使用頻度が高いため、着用後すぐのケアが退色や変色の予防につながります。
また、保管時には丸めたタオルや薄紙を内側に入れておくと、湿気を吸ってくれたり、型崩れも防ぎやすくなります。
シーズンオフの正しい収納方法
しまう前には十分に乾燥させ、型崩れしないように保管することが大切です。通気性のある袋や箱を使い、湿気の多い場所は避けましょう。
具体的には、押し入れの奥よりも風通しのよいクローゼット上段のほうが保管に向いています。除湿対策も効果的です。
長く使うために避けたい扱い方
天然草帽子を長持ちさせたいなら、次のような扱い方は避けたいところです。
- 濡れたまま放置する
- 車内や窓際に長時間置く
- 汚れを強くこすって落とす
これらは、色焼け・変色・型崩れの原因になりやすいため、日常の扱い方を少し見直すだけでも状態は変わってきます。
天然草の種類による違い
同じ布でもデニムが色落ちしやすいように、同じ天然草といっても、種類によって退色のしやすさにはかなりの違いがあります。
油分が多い繊維には染料が定着しにくいため、一般的な天然草の中では、パナマやラフィアはややくすんだ色が多く、比較的色が抜けやすい傾向があります。パナマにナチュラルカラーが多いのも、そのための一因です。
一方で、麻系のアバカやシゾール、ケンマ草などは、きれいに漂白しやすく、染料の定着性も比較的高いため、発色がよいものが多く、退色もしにくい傾向があります。
繊維・染料の種類にもよりますが、多くのパナマやラフィアに見られる色変化の傾向も参考としてご紹介します。
ブラック
黒は比較的色持ちは悪くないですがやはり少しづつ退色はあります。
使用される染料によって多少異なりますが、焦げ茶系の色へ変化することが多いです。まれに、緑がかった海苔のような色味になる場合もあります。
グレー
グレーも染料の種類によって異なりますが、赤みが増して茶色っぽくなる場合と、緑みを帯びてカーキのような色になる場合があります。
ネイビー
ネイビーは赤みが増していくことが多く、赤紫のような色へ変化することがあります。
ブルー
ブルーもネイビーと同様に赤紫っぽい色へ変化することがありますが、単純に色が抜けて地色(パナマならベージュ系)と混ざったような色になる場合もあります。
グリーン
グリーンは、比較的色が抜けて地色(ベージュなど)と混ざるような色変化になることが多いです。
ブラウン
ブラウンは色の濃さによりますが、どちらかといえば色が抜けて薄くなることが多いです。
ベージュ
ベージュは比較的色の変化が少ない色です。
ナチュラル
ナチュラルも比較的色の変化は少ないですが、ナチュラルの中でも薄めのものは、時間の経過とともにやや色が濃くなる場合があります。
オフホワイト
オフホワイトはベージュみが増していく変化になりやすく、クリーム色やナチュラルに近い色合いになることがあります。
レッド
レッドは、どちらかといえば色が抜けて地色と混ざるような変化が多い印象です。
ピンク
ピンクも、どちらかといえば色が抜けて地色と混ざるような変化が多い印象です。
パープル
パープルも、色の濃さや赤系・青系のどちらに寄った紫かによって異なりますが、どちらかといえば色が抜けて地色と混ざるような変化が多い印象です。青みの強い紫であれば、赤紫に近い色へ変化する場合もあります。
長い時間の使用で紫外線に当たった場合などは全体が均一に退色して変化することもありますが、経年で変化する場合には中心から離れた部分から色変化が進んでいきます。ハットであればつば先からなど。
また、繊維の一本だけ変わったりすることもあったり、色の変化が読めないことも多いのですが、それも含めて天然草の味わいとお考えいただき、ご自身だけの世界に1つの帽子をお楽しみいただければ幸いです。
- 2026.04.28
- 11:04
長くきれいに使うための帽子収納

帽子 収納で型崩れを防ぐ簡単アイデア5選
帽子は毎日かぶるものだからこそ、つい「とりあえず置いておく」ことも多いかと思います。ただ、少し収納方法を変えるだけで、型崩れは驚くほど防げます。日頃お客様にお伝えしている内容をもとに、帽子 収納で型崩れを防ぐための基本と簡単な工夫をご紹介します。特別な道具がなくても実践でき、帽子を長くきれいに使っていただくためのヒントが詰まっています。
・帽子が型崩れしてしまう主な原因
帽子の型崩れには必ず原因がありますので大きく3つの原因に分けてみます。原因が分かると、収納の見直しポイントが自然と見えてきます。
重ね置きによる圧迫
帽子を何個も重ねて収納していませんか? 重ね置きは型崩れの最大の原因です。一つひとつは軽くても、重なった状態が続くと下の帽子に負担がかかりますし、形状が違えばどちらかの帽子型の影響で歪みが出たりします。たとえば、つばが反ってしまったり、クラウンが凹んだりするのは、この圧迫が原因のことが多いです。
収納スペース不足による潰れ
クローゼットや棚に無理やり押し込んでいませんか? スペース不足は帽子を変形させる直接的な原因になります。帽子は立体物でかさばるので場所の確保は大変ですが、狭い引き出しに複数の帽子を詰め込んだり、クローゼットの隙間に無理に差し込んだりすると知らないうちに形が変わってしまうため、収納スペースの確保はとても大切です。
素材や形状に合わない保管方法
すべての帽子を同じ方法で収納していませんか? 帽子は形も素材もさまざまです。フェルトや天然草、ニット素材では、適した保管方法も変わります。すべて同じ収納にしてしまうことが、型崩れの原因になる場合もあります。
・型崩れを防ぐ帽子収納の基本ルール
どんな収納方法を選ぶにしても収納時の基本ルールがありますので、この3つのルールを押さえておけば、帽子の型崩れは大幅に防げます。
帽子の中を支えて保管する
帽子は、内側から支えてあげるだけで形が安定します。たとえば、柔らかい紙やタオルを軽く入れるだけでも十分です。強く詰める必要はなく、「支える」感覚がポイントです。紙を詰めるのは湿気防止にも役立ちます。
帽子同士を直接重ねない
どうしても複数の帽子をまとめて収納する場合は、直接重ねない工夫をおすすめしています。箱や仕切りを使うことで、負担を分散できます。一つひとつを大切に扱う意識が、結果的に長持ちにつながります。複数置く場合は、基本的に同じ形のものを重ねると比較的圧力がかからず型崩れしにく、ハット同士などは帽子と帽子の間にスポンジや紙の輪のヘダテを挟んで置くのも良いです。

湿気と直射日光を避ける
湿気は型崩れだけでなく、素材の劣化にも影響します。湿気が多い場所ではカビが生えたり素材が劣化したりします。また、直射日光は色あせの原因になります。湿気がこもらず日差しの当たらない場所が理想的です。湿気が高い時期には除湿剤を一緒に入れておくとさらに安心です。
・帽子 収納で型崩れを防ぐ簡単アイデア5選
ここからは、すぐに取り入れやすい帽子 収納のアイデアを5つご紹介します。たとえばクローゼットや玄関など、生活シーンに合わせて選んでみてください。
ハンガーを使った吊るす収納
クリップ付きハンガーで帽子を吊るす方法は手軽でおすすめです。クローゼットの中でも比較的場所を取らず、風をとおして乾燥させるのにも役立ちます。
クリップで挟んだ部分に跡が付いたり、長時間吊るしたままだと微妙な型崩れにつながることもありますので、普段使いの帽子やキャップ、軽めの帽子に向いています。
布帛の帽子でも目の粗いものや、ニットなども編みによっては伸びたり型崩れしたりするため、洗濯表示の平干しマーク(□のなかにー)があるものは吊るし収納は避けた方が無難です。
ボックス収納で形をキープする方法
箱に入れて収納する場合は最も確実に型崩れを防げます。帽子の中に軽く詰め物をしておくと安心です。形を保ったまま保管でき箱を積み重ねることもできます。シーズンオフの収納にも向いています。同じ形のものだと複数個入る場合もあります。
100均アイテムを使った省スペース収納
100均の吊り下げ式ボックスを使って棚のように収納するのもおすすめです。
あまり大きいものだと入りませんが、キャップやハンチング、小ぶりなハットぐらいでしたら十分対応できます。
ブックスタンドなどで立てる収納
帽子を立てて収納することで、省スペースかつ型崩れを防げます。ブックエンドや仕切り板を使ってクローゼットの棚やテーブルに帽子を立てて並べます。ある程度しっかりした柔らかすぎない布帛の帽子にオススメです。
デッドスペースを活用した壁面収納
壁にフックを付けて掛ける収納は、見せる収納としても楽しめます。使わない壁面を活用でき、型崩れを防ぎながら帽子を身近に感じられる方法です。玄関の一角などにもおすすめです。クローゼットドアの内側にポケット収納を吊るすなどの方法があります。大ぶりなハットなどにオススメです。
個人的には長期収納以外は壁掛け収納とハットスタンドにかけることが多いです。
・帽子の種類別に見る正しい収納方法
帽子は種類ごとに「守りたいポイント」が少しずつ違います。ここでは、代表的な帽子について、型崩れを防ぐ収納のコツをまとめます。お手持ちの帽子に合わせて取り入れてみてください。
キャップの型崩れを防ぐ収納ポイント
キャップはつばの形が大切です。立てて収納するか、吊るす収納がおすすめです。キャップを並べて吊るせるホルダーも市販されていますのでオススメです。布帛の帽子でつばもカーブ変形可能なものが多いので比較的気を使わない種類ですが、中に軽く詰め物をすることで、被り口の変形も防げます。
ハット・中折れ帽の収納ポイント
ハット類は立体的なのでクラウン・つば型の形を守ることが重要です。逆さに置いてつばを浮かせるか、箱に入れて保管すると安心です。押さえつけないことが基本になります。特に中折れ帽で前つばの下りたスナップブリム型の帽子は、箱に入れて逆さに置いて収納することをオススメします。
ニット帽・柔らかい帽子の収納ポイント
ニット帽は畳んで収納するのが基本です。伸びやすい素材のため、長期間吊るす収納は避けた方が無難です。たとえば引き出しに入れる際も、重いものを上に載せず、自然な形を保つ収納を心がけましょう。
・帽子収納でやってはいけないNG例
最後に、避けていただきたい帽子 収納のNG例をご紹介します。ついやってしまいがちですが、ここを直すだけでも型崩れのリスクは大きく下がります。
無理に押し込む収納
「入るから大丈夫」と押し込んでしまうと、帽子には大きな負担がかかります。とくにクラウンやつばが押されると、戻りにくいクセが付きます。「入るか」より「守れるか」を基準に、少し余裕のある収納を意識してみてください。
長期間放置する収納
長くしまったままにしていると、湿気やクセが付きやすくなります。たとえば季節の変わり目に一度出して、風を通すだけでも違います。定期的なチェックが、帽子のコンディションを保つコツです。長期収納の前には風通しの良い陰干ししてから収納するのがオススメです。
形を整えずにしまう習慣
脱いだままの形で収納すると、その形が定着してしまいます。しまう前に軽く整えるだけで、型崩れのリスクはぐっと下がります。。たとえば、汗を吸った部分を乾かしてから、中折れ帽など前つばを下したらつばを元の形に戻してしまう、ツバが曲がっていたら元に戻すなどほんのひと手間が、帽子を長持ちさせるコツです。
帽子 収納は少しの工夫で劇的に改善できます。今回ご紹介したアイデアと基本ルールを実践すれば、大切な帽子を型崩れから守り、いつでもベストな状態で楽しめます。
一つ一つ収納すれば一番ベストなのですが、なかなかそうもいきませんよね。
多少の型崩れなどはスチームなどでも補正できる場合も多いので、
また機会をおいてご紹介します。
まずはできることから始めて、快適な帽子ライフを手に入れてください。
- 2026.03.28
- 22:20
夏の繊維の比較表 天然素材・紙・化繊の違いと特徴
夏の繊維についての記述をしている際に少し気になったので、綿などの繊維も含めて比較表を作ってみました。繊維自体の特性ですので、後付けの加工次第で変わる場合もあります。特にポリエステル
まだ試作段階ですが。
| 素材 | 吸湿性 | 放湿性 | 耐久性 | 発色性 | 肌触り | 特徴・補足 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 綿(コットン) | ◎ | ○ | ○ | ○ | ◎ | 吸湿性・保温性・耐久性が高く肌当たりが良い。乾きは遅め。 |
| 麻(リネン) | ○ | ◎ | ◎ | △ | ○ | 放湿性が非常に高く涼感あり。綿に比べると硬めでハリ・とろみのある素材感。 |
| 麻(ラミー/苧麻) | ○ | ◎ | ◎ | ◎ | △ | 強度と発色性に優れ、リネンよりやや硬めで紙素材や天然草に近いシャリ感を持つ |
| 絹(シルク) | ◎ | ◎ | △ | ◎ | ◎ | 吸放湿性・保温性に優れ肌に柔しい。水や摩擦に弱く、色持ちに難あり。 |
| レーヨン(ビスコース) | ◎ | ○ | △ | ◎ | ◎ | シルクに近い肌触り。水に弱く縮みやすい。 |
| ポリエステル | × | △ | ◎ | ◎ | ○ | 水を吸わず軽量。蒸れやすいが扱いやすく、形状安定・色安定に優れる。*加工による |
| ナイロン | × | △ | ◎ | ◎ | △ | 非常に強靭・軽量。スポーツ・アウトドア向き。肌当たりはやや硬めになりやすい。 |
| ペーパー(紙素材) | ○ | ○ | △〜○ | ◎ | △ | 繊維ムラが少なく、発色が安定。水濡れに弱く、経年変化は少ない。 |
| パナマ(トキヤ草) | △ | ◎ | ◎ | △ | ○ | 通気性・耐久性が高く夏向き。染まりにくくナチュラル色が中心。 |
| 麦(ストロー) | △ | ○ | ◎ | △ | △ | 硬く形状保持力が高い。遮熱性・実用性重視の夏素材。 |
| ラフィア | △ | ○ | ○ | △ | ○ | しなやかで折りたたみ可能。水分による色移り・退色には注意。 |
| シゾール/マニラ麻 | △ | ○ | ◎ | ◎ | △ | 高強度で発色が良い。繊維は硬めで癖がつきやすい。 |
| ブンタール | △ | ○ | △ | ○ | ○ | 非常に軽く上品な光沢を持つ希少素材。耐久性はやや控えめ。 |
- 2026.02.11
- 01:37
天然草素材| 花麦のはなし
カンカン帽やヴィンテージハットが好きな方はご存知かもしれませんが、
ストロー素材の一つに花麦と呼ばれるブレード素材があります。
「花麦のカンカン帽」などと言われ、下記写真のような素材を花麦だと
認識されている方も多いと思いますが、
この花麦とは一体何なのか?と思われた事はありませんか。
一般に使われるストロー素材と何が違うのか。
帽子業界内でも曖昧な定義で使われているため、少し調べてみました。
花麦をはじめ、ブンタールなど手の込んだ編みの天然草素材は、
伝統的に手先が器用で、きめ細かい工芸品づくりを得意とする
中国で作られてきたものが多くあります。
実際に中国の編み手まで辿って調べたところ、
「花麦」という名称は、あまり食用に向かない実が小さく茎の長い品種の小麦の茎から作られた
飾り編みのブレードの総称であることが分かりました。
上の写真のような編みブレードストロー素材だけが花麦というわけではなく、
実際にはさまざまな種類が存在するようです。
ちなみに写真の編み方は、現在では固有の名称は残っておらず、
単なる番号として「0359」と呼ばれているそうです。
この0359の花麦ブレードは、現在ではほとんど編み手がいないとのことで、
すでに編まれたごく少数の在庫が流通しているのみとなっています。
……使い道のない無駄知識かもしれませんが。
ちなみに、今年の春夏シーズンでも花麦のカンカン帽の入荷を予定しています。
透かし編みになった通気性の良いブレード素材ですので、
どうぞお楽しみに。
*上記は帽子に使われる花麦と呼ばれるものについてで、フラワーアレンジに使う花麦というのもあるそうですが、帽子の花麦は飾り編みの総称らしいので違うものかもしれません。花麦とは?
花麦ブレードのカンカン帽
- 2026.02.08
- 21:52
春夏の天然草素材について

春夏の帽子素材|天然草素材について
春夏の帽子素材として定番となるのが、天然草木を原料とした帽子素材です。
一般的にはこれらをまとめて「ストローハット」と呼ぶことが多いですが、
実はこの呼び方はやや広義的な表現になります。
「ストローハット」という呼び名について
本来「ストロー(STRAW)」は麦わらを指す言葉であり、
厳密にいえば、現在流通している天然草の帽子でも多くは麦以外の植物繊維を原料としていますが
当店でも分かりやすさを優先して総称としての「ストローハット」「天然草帽子」と表記しています。
少し分かりにくい点ではありますが、あらかじめご了承ください。
天然草素材の種類と特徴
春夏の帽子に使われる天然草素材は、
秋冬のフェルト素材に比べると種類が非常に多いのが特徴です。
代表的な素材としては
パナマ・ラフィア・ストロー(麦)の3種が挙げられますが、
実際には当店で取り扱う天然草帽子だけでも10種類前後の素材が存在します。
以下にそれぞれの素材の特徴をご紹介します。
■ パナマ
天然草素材の中でも高級素材の代名詞ともいえるのがパナマ。
特にメンズハットでは、世界中のブランドで多く採用されています。
パナマ帽はトキヤ草(パナマ草)と呼ばれる椰子に似た細長い葉をもつ植物の葉を裂いて
乾燥・漂白した繊維を手作業で編み上げた帽子です。
パナマの産地エクアドルの中でも生産地や加工地で様々な種類があり
たとえばクエンカという産地のものは漂白が強く白っぽい
モンテクリスティ産のものは漂白法が違うため黄色みのある色あいでしなやか、など。
目の細かさ・混じりの少なさなどで細かくグレードに区分されています。
特にモンテクリスティ産は最高級とされ、
編みの細かさによってファイン・スーパーファインなどの等級に分かれます。
中には一般市場に出回らない門外不出とされるものもあるらしいです。
数万円クラスでも製作に2か月近くかかると言われていますので、100万円を超える最上級品が存在するのも頷けます。
パナマの色味と耐久性
パナマ帽はナチュラルカラーが多い印象がありますが、これは繊維に含まれる油分が多く、染料が入りにくいためです。
その反面、しなやかさと耐久性といった点に優れており、
天然草素材の中では最もおすすめしやすい素材といえます。
Borsalinoの試験ではパナマキートはUPF50+相当の紫外線防止効果もあるようです。
■ ラフィア
夏のレディースハットで欠かせない素材がラフィア。
ラフィアという名前は知らなくても、メンズでも人気の細編みのハットは誰でも一度は見たことがあるはず。
ラフィアは
椰子(ヤシ)の若い葉を細かく裂き、乾燥・漂白した繊維を編み上げた素材です。
しなやかな柔軟性と使い込むほどにツヤが増し馴染んでいくのも特徴的な素材。
このしなやかさを生かすため細編みにして折りたためる仕様にすることが多く
折りたたんでもシワになりにくく、割れにくい
天然草としては非常に使い勝手に優れた素材です。
*パナマでも同じように細編みにして折りたためるものはあります。
ただ、パナマと同じく油分が多いため染料が定着しにくく、
濡れた状態での色移り、紫外線などによる退色は他の天然草よりも大きいかもしれません。
原産地はフィリピンやマダガスカルなどが知られ、
特にマダガスカル産は良質とされ、多くのブランドで使用されています。
■ ストロー(麦わら)
いわゆる麦わら帽子に使われる素材がストロー。
小麦の茎を編んで紐状(ブレード)にし、渦巻き状に縫い上げて帽子の形に仕上げたもので
中が空洞のため軽く、比較的硬めでしっかりした帽子に仕上がります。
熱・紫外線の遮蔽率も高いので、実用的にも夏向きの素材です。
ストロー素材はひも状のブレードを縫い上げるブレードハットに作られることが多く
繊維が太く硬いためパナマなどのように繊維を交互に編み上げていく石目編みの帽子は少ないです。
外国由来のものが多い天然草の素材の中でも、日本でも作られてきた素材で
こちら香川県でも昔は麦わら帽が盛んに作られていました。
麦稈真田とよばれ、帽子を作る用途に育てて早期に刈り取るため
染みがなく細くしなやかな繊維から作られた均一できめ細かいブレードは
四菱編みのカンカン帽など今ではヴィンテージハットにのみ見ることのできる素材になってしまいました。
香川原産の麦を使った麦わら帽復刻プロジェクトが進行しているようですので個人的に期待しています。
■ シゾール(マニラ麻・シナマイ)
近年、入手が難しくなってきた希少素材がシゾール。
フィリピン原産のマニラ麻(アバカ)から作られます。
「麻」と名がつきますが、分類上はバナナの仲間(バショウ科)です。
植物繊維としてはもっとも強度の高いものの1つで、
耐水性・耐久性がとても優れているため
古くからロープや漁業の網などに使われ
服飾素材としては帽子・バッグ以外ではほとんど見かけないものです。
意外なところではお札にも使われています。
艶やかな光沢をもつ植物繊維で、出来上がった帽子をみるととても薄く羽根のような軽さで
光沢感ともあわせてとてもエレガントな帽子に仕上がります。
前述のパナマに比べると繊維が硬めで、癖がつきやすいという難点はあるのですが
純白に漂白することが出来ることと染料の染まりがいいため
発色の良い様々な色合いに染めることが出来るのは衣料としては優れたポイント。
似た名前でパラシゾールという物もありますが、
これはシゾールが石目編み、パラシゾールがアジロ編みの編み方による違いとなります。
素材感の似た素材でラミエ(ラミー・苧麻・ケンマ草)などの素材もあります。
■ ブンタール
フィリピン原産のココヤシの髄を割かずに丸ごと使った繊維で
非常に軽く、艶やかな光沢のある高級素材です。
繊維を割かずに使うことと凹凸も少ないため、
非常に滑らかで均一な編み地に仕上がるのは特徴で
艶感を生かすためアジロ編みに仕上げられることが多いです。
美しい素材感と軽さから夏用帽子の最高級素材の1つとも知られていますが、
現在では編み手がいなくなってしまい、
既存に編まれた帽体がなくなれば作れないという絶滅危惧種のような存在です。
こちらも編み方によって名前が異なり、
石目編みはバクー、アジロ編みはパラブンタールと呼ばれます。
■ パンダン
東南アジア原産の熱帯植物ニオイタコノキの葉で、甘いバニラのような香りを持つので
料理やケーキなどの香り付けなどにも使われる素材です。
ストローのような硬めで艶のあるパキッとした質感を持った繊維にしあがります。
丈夫で耐久性も高いため、普段使いにもオススメしやすい素材となります。
■ バオ
ココヤシの葉を原料とした繊維で、ラフィアと同じく椰子から作られる素材ですが
バオは比較的硬めで丈夫、軽いのが特徴的な繊維。
しっかりしたシェイプを保てるため、クラシックな帽子に使われることが多いです。
あまり流通量は多くないので、希少な素材としても知られます。
■ 南徳草
陸稲の茎をつかった繊維で、硬めで耐久性のある強靭さがあり
ややラフなビンテージっぽい質感のものが多いように思います。
南特草ともよばれます。
■ カンピ草
吸湿・発散性に優れた天然のい草の一種で、主に軽量で涼しい夏用の帽子
(カンカン帽など)の素材として使用される繊維です。
撚って使われることも多く、ヨリカンピとも呼ばれます。
■ シーグラス
い草に似た海辺の水草を使ったサラッとした硬めな素材感の繊維で
耐久性・通気性に優れた繊維としても知られます。
晒しにもよるのかもしれませんが、
どちらかといえばくすんだグレーっぽい色味のものが多いような印象です。
■ その他の素材
他にも
バンブー・ジュート・コーン・エチェンゴンドッグ(ホテイアオイ)など様々な種類があり
それぞれ違った質感・雰囲気があって面白いです。
天然草帽子を選ぶときのポイント
- 使用シーン: フォーマルならパナマ、カジュアルならストローやジュート
- 携帯性: 折りたたみたいならラフィアやパナマの細編み
- 耐久性: 長く使いたいならパナマ、ラフィア、シゾール
- 予算: お手頃ならジュートやストロー、高級ならパナマやブンタール
- デザイン: 色にこだわるならシゾール(発色良好)、ナチュラルならパナマやラフィア
*パナマ・ラフィアは耐久性は高いのですが、色焼け・退色しやすいため
色の耐久性は低いです。後日別記事にします。
天然草の帽体は、年々原料・職人ともに減少しており入手が難しくなっています。
それぞれの素材が持つ質感・風合い・歴史を楽しめるのも天然草帽子ならではの魅力です。
だからこそ、今ある素材や技術を大切にしていきたいもの。
自分に合った素材を見つけて、長く愛用できる一品を選んでくださいね。
| 素材名 | 質感 | 重さ | 耐久性 | 価格帯 | おすすめシーン |
|---|---|---|---|---|---|
| パナマ | しなやか | 軽〜中 | ◎ | 高 | フォーマル・長期使用 |
| ラフィア | 柔軟 | 中 | ○ | 中〜高 | お出かけ・旅行 |
| ストロー (麦わら) |
硬め | 中 | ○ | 低〜中 | カジュアル・実用 |
| シゾール (マニラ麻) |
硬め・光沢 | 軽 | ◎ | 高 | エレガント |
| ブンタール | 滑らか・光沢 | 極軽 | ○ | 最高級 | 特別な場面 |
| パンダン | 硬め・艶 | 軽 | ◎ | 中 | 普段使い |
| バオ | 硬め | 軽 | ○ | 中〜高 | クラシック |
| カンピ草 | 硬め | 軽 | ○ | 中 | 涼しさ重視 |
| シーグラス | 硬め | 軽 | ◎ | 中 | カジュアル |
| バンブー (竹) |
硬い | 軽~中 | ◎ | 中 | 和風テイスト |
| ジュート (黄麻) |
粗め | 中 | ○ | 低 | コスパ重視 |
| 南徳草 | 硬め・ラフ | 軽 | ◎ | 中 | ビンテージ風 |
番外編 ■ペーパーストロー
厳密には天然草ではありませんが、帽子としてはずいぶん前から天然草の代替としてペーパーストローは使われてきました。
*海外製の帽子でTOYO STRAWという名称でよく使われています。
STETSONのペーパーストローのウエスタンハットも古くから和紙素材を使っているようです。
一般的に紙素材は、トイレットペーパーやティッシュペーパーなど日本の紙質が良いこともあって、
水に弱い、破れやすいような印象が強いと思いますが、
特に和紙は植物繊維を抽出して作られた不織布のような繊維の固まりに近いもので
耐久性も高く、加工次第で水をはじくようにも、手洗いも可能な強度がある素材も変わります。
昨今ではパナマなど天然草素材の減少や価格高騰や加工技術の進歩などから
従来にくらべ質感・取り扱いも各段に良くなったペーパー素材もたくさんあり
天然草に比べて、
・安定的な供給が可能
・繊維の太さ・色にムラができにくい
・染色性が良く劣化しにくい
・割れにくく折り畳みにも対応可能
といった特徴があります。
- 2026.02.11
- 01:44
秋冬のフェルト素材について
秋冬の帽子素材として欠かせないフェルト。
フェルトとは、羊毛や獣毛、合成繊維などを織らずに、
熱・水分・圧力を加えて繊維同士を絡ませ、圧縮・凝固させた不織布状の素材の総称です。
起源には諸説あり、
ノアの箱舟の床に敷き詰めた羊毛が、雨水と動物たちの体温、踏みつけによってフェルト化した話や、
聖クレメントが敵に追われた際の足の痛みを和らげるために靴底に羊毛を敷いて走り続けた結果、フェルト状になっていた話などが伝えられていますが、いずれにしても、その歴史は紀元前6500年頃まで遡るとも言われ、
フェルトは人類最古の繊維製品のひとつとされています。
フェルトは一般的な衣類素材としては多くありませんが、
帽子においては非常に理にかなった素材です。
立体感が重要な帽子にフェルトが多用されてきた理由がここにあります。
一見すると同じように見えるフェルト帽子ですが、
実は原料となる毛の種類によって、
かぶり心地・表情・耐久性、そして価格まで大きく異なります。
主なフェルト素材は、
ウール・ラビット・ビーバー。
フェルト帽子の魅力を知るうえで欠かせないのが、この「フェルトの種類」です。
羊毛を原料とした、もっとも一般的なフェルト素材です。
ウールフェルトは丈夫で扱いやすい反面、繊細な表情は出にくい素材です。
気軽に被れる一方で、艶感やエイジングを楽しむタイプではありません。
ただ近年は、ラビットやビーバーの価格高騰を背景に、安定的なウールとのミックス素材が増えています。
ウール100%のものでも非常にきめ細かくラビットファーフェルトのような質感を持つ素材も登場しており、今後注目度の高い分野です。
兎毛(ラビット)を使用したフェルト。 繊維が中空構造のため軽く、成形性にも優れ、 直毛のためフェルト化しやすいため ミドルクラスから高級ラインまで幅広く使われています。 近年価格が高騰してきたとはいえ「価格・品質・見た目」のバランスが非常に良く、
初めての本格フェルト帽子としても最適な素材です。
表面加工の違いによって、
毛並みの長いメリュージーヌ・ビーバー(ビーバーの毛ではありません) 、
やや毛足のあるベロア、 短めに刈り込んだファープレーン、ファープレーンをさらに磨きこんだアンテロープなど、
表情のバリエーションも豊富です。
ビーバーの毛を使用したフェルトは、
歴史的にもトップハットなどに多用されてきた最高級素材です。
かぶった瞬間に分かる軽さと、吸い付くようなフィット感。
ヌメリのある肌触りと、深みのある発色は別格です。
繊細な素材感を持ちながら耐久性にも優れ、
価格は高くなりますが、
10年、20年、一生ものとして付き合える帽子素材と言えるでしょう。
近年はインフレや動物愛護の観点など、
さまざまな要因からラビット・ビーバー素材は年々希少性を増しています。ビーバーフェルトは取り扱いを中止するメーカーもあり、
帽子屋としても悩ましい状況ですが、
素材の選択肢や価値観も時代とともに変化していくのかもしれません。
秋冬のフェルト素材について|フェルト帽子の素材別特徴
防寒性・防風性・成形性に優れ、古くから世界中で帽子づくりに用いられてきた伝統素材です。
フェルトとは?|世界最古の繊維素材とも言われる理由
なぜ帽子にフェルトが使われるのか
フェルト帽子は「素材の違い」で大きく変わる
(過去にはヌートリア、セルベルト、ビキューナ・カシミア、ミンクミックスなども使われていました)
■ウールフェルト|もっとも身近なフェルト素材
特徴
向いている帽子
帽子屋的ひとこと
ウールフエルトの帽子
その他のウールフェルトの帽子はこちら
■ラビットフェルト|バランスの良い主力素材
特徴
向いている帽子
帽子屋的ひとこと
ラビットファー素材の帽子
その他のラビットファーフェルトの帽子はこちら
■ビーバーフェルト|フェルトの最高峰
特徴
向いている帽子
帽子屋的ひとこと
・ビーバー素材の帽子
その他のビーバーフェルトの帽子はこちら
- 2026.02.11
- 03:24
ベレーの直径サイズとかぶり口サイズについて
フランスとスペインの国境地帯に広がるバスク地方が発祥とされるベレー帽は、 つばのない丸く平らな形状が特徴の帽子。 一般的にはフェルト素材で、TOPに「チョボ(つまみ)」の付いたものが 伝統的なスタイルとされています。
水平にかぶったり、目深にかぶったり、斜めにかぶったり、浅くかぶったりと、 かぶり方次第でさまざまな表情を楽しめる、 シンプルでありながら奥の深い帽子のひとつです。
黒・濃紺・赤の3色が伝統的な色とされており、 バスク地方にルーツを持つ老舗メーカー「LAULHERE(ロレール)」の 伝統的なシリーズ Heritage Line では、 基本的に黒と濃紺のみが定番カラーとして展開されています。 ※定番色以外に別注カラーが存在するものもあります。
ベレー帽は直径サイズによって印象が大きく変わります。 一般的には9インチから11インチ程度までが主流です。
- 9インチ: 直径約24〜25cmの小ぶりなシルエットで、 横への広がりが比較的控えめなタイプ
- 10インチ: 直径約26〜27cmの標準的なサイズ感で、 大きすぎず小さすぎず、バランスの良いシルエット。 斜めにかぶるなどのアレンジもしやすいサイズです。
- 11インチ: 直径約29〜30cmの存在感のあるシルエットで、 斜めにかぶったり、庇(ひさし)のようにかぶったりと、 印象的なスタイリングがしやすいサイズです。
※12インチ以上の大判サイズや、10.5インチなどの中間サイズもあります。
ここで一つ注意したいのが、 頭周りのサイズが変わっても、直径サイズ(帽子全体の大きさ)は同じ という点です。
例えば同じ10インチでも、頭周り55cmと65cmでは、 ベレー帽のボリューム感や横への広がり方が大きく異なります。 55cmの場合は、まるで11インチのようなボリューム感が出る一方、 65cmの場合は横への広がりが少なく、すっきりとした印象になります。
9インチではもともとのボリューム感が小さいため、当店では9インチサイズは最大60cmまでの展開としています。

当店では54cm〜65cmまで幅広いサイズ展開のベレー帽を取り扱っておりますが、 サイズと直径の組み合わせによって見え方が変わる点は、 あらかじめご留意いただければ幸いです。
目安としては、
・55cm以下の小さいサイズの方は「9インチ」
・62cm以上の大きいサイズの方は「11インチ」
が比較的バランスよく見える場合が多くなります。
※最終的にはお好みのボリューム感やかぶり方のイメージによりますこと、 あらかじめご了承ください。
合わせて、ベレー帽の基本的なかぶり方についてもご紹介いたします。
※LAULHERE資料より引用

- 2026.02.08
- 21:56
吸汗ライナーエリプリについて
帽子の内側のかぶり口にある帯状の汗取りは、スベリ・スエットバンド・汗留めなどとも呼ばれ、
かぶった時の収まりを良くする留めとして、また汗留めとしても役立つ大切なパーツです。
特に羊革は銀面が弱い傾向があるためご注意ください。
帽子の汗取り(スベリ/スエットバンド)と吸汗ライナーの使い方・注意点
洗えない帽子に「吸汗ライナー」を使うメリット
ストローハット・パナマハット・フェルトハットなど、
洗濯ができない(しづらい)帽子では、汗取りの額(ひたい)部分に
吸汗・防臭・抗菌機能のある吸汗ライナーを使う方も多いと思います。
特に汗をかきやすい春夏の帽子は、帽子本体へ汗が染みるのを防げるため、
汗ジミ対策になり、気になる臭いの予防にもつながります。
サイズ感は少し小さめに(目安:5mm前後)
ライナーを付けると、多少(目安として約5mm程度)サイズ感が小さめになります。
そのため、もともと余裕のないサイズの帽子には付けづらい場合がありますが、
うまく使えると帽子の持ちが断然よくなります。
粘着テープが強い場合の注意点(布・革のスベリ)
ただし、吸汗ライナーの粘着テープが比較的強力な場合、貼り付ける面には注意が必要です。
データが十分に揃っていないため断定はできませんが、素材によって次のようなケースがあります。
・布面:付け外しを繰り返すことで、表面が毛羽立つ場合があります。
・革面:長期間貼った場合、剥がす際に革の表面を傷めたり、
銀面(ぎんめん)がはがれる場合があります。
牛革は丈夫なため、比較的問題が少ないようですが、
もし「支障があった」「うまくいかなかった」などの事例をご存知の方がいらっしゃったら、
ぜひ教えてください。

- 2026.02.11
- 01:47
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ハットの梱包について
当店から帽子をお送りする際の梱包状態について、ハットの場合、クラウンが収まるぐらいの高さのボール紙を輪にしたものに
ハットを逆さまにして入れて梱包するものがあります。
特に中折れ帽など形の付いた帽子で型崩れする場合などに使うのですが、
時々逆に入っていると思われるかもしれないので参考にお知らせします。
このやり方だと、帽子を箱の中央にある程度固定することが出来るため
接触による型崩れが少なかったり、前つばの下りたつば型の場合などにも
形を保持することができます。












